はりま地域の特徴(気候・風土・伝統) 地域の気候・風土、歴史、伝統や文化について
地域型住宅の対象地域
「はりま風土木の家プロジェクト」が定める播磨地域は、旧播磨国一円(明石市、加古川市、高砂市、稲見町、播磨町、西脇市、三木市、小野市、加西市、加東市、多可町、姫路市、神河町、市川町、福崎町、相生市、たつの市、赤穂市、宍粟市、太子町、上郡町、佐用町)およびその近接地域をさし、この地域内で建築される住宅をプロジェクトの対象としております。
地域の気候風土
播磨は、内陸部の豊かな森林地帯を南北に流れる加古・市・揖保・千種水系に挟まれた肥沃なデルタ地帯で、豊饒の瀬戸内海と温暖な気候で台風や地震などの過酷な災害も稀で抜群に恵まれた自然環境です。【写真は播磨西南部の千種川下流域】
瀬戸内海沿いの中南部は、温暖で降水量の少ない瀬戸内気候で、年平均気温15℃、年間降水量約1,500mm前後。特に冬季の降水量が少なく、日照時間は2000時間を超えます。
一方、河川上流の山間部にあたる北部は、北部が冬季積雪の見られる内陸気候に属し、中南部に比べ年平均気温は1~2℃低く、年間降水量は冬季も比較的多く、2,000mm前後となっています。揖保川、千種川など流路の長い大きな河川による水源地域として、寡雨傾向にありながらも水需要の多い平野部を潤しています。
風向は、夏は南寄り、冬は北寄りの風が吹きますが、風速も穏やかです。但し、森林地帯の中心部には活断層(山崎断層)の存在が指摘されており、大地震への備えは怠らぬことが必要な地域です。
地域全体の都市化は比較的緩やかで、居住空間としては、温暖な気候、田園地帯と都市化のほどよいバランス、空気、水といった快適条件を満たす非常に良好な住環境にある地域です。
⇒共通ルール 深い軒 心地よい風を取り入れる縦すべりだし窓 高低差による自然排気
歴史・文化・生活圏
播磨の農山漁村には、天日槍と戦った伊和大神の神話など播磨国風土記の時代から綿々と伝承された文化が、近世から近代・現代へと今なお脈々と受け継がれています。播磨全域で四季の折々に催される地域の「祭り」や「伝統芸能」は、わたしたちの祖先が日々の営みの中で「五穀豊穣」と「生活の平穏」を祈る貴重な行事で、地域社会の強い絆とコミュニケーションを形成する原動力でもありました。
祭り屋台や神輿の製作で鍛えられた錺・漆塗り・彫り物・漆喰の伝統工芸師は、ヒューマンウエアとして、姫路城の修復保存や次代への継承に欠かせない。「祭り」は、地域力そのものです。
その伝統工芸の錺制作術が、風を活かす「欄間」などの室内装飾品や伝統家具などに活かされています。
元々は城下町であったため、城の維持保全と武家の日常生活を支える多彩な技能士(職人)の町でもあり、往時には多くの大工、鍛冶、左官、彫り師、石工が住むまちでもありました。
⇒共通ルール 客人をもてなす広縁や上がり框 土間式の内玄関 漆喰壁 瓦屋根
街並みと景観
播磨の中心地である姫路市は、四神相応の地に位置する世界遺産の姫路城を擁する城下町。現在は人口53万人で、臨海部の工業地帯は先端産業の誘致も盛んで、躍動感あふれるものづくりの街です。
【写真は世界遺産姫路城の天守閣から大手前通りを経て、JR姫路駅を臨む】
古代より内陸部交通が盛んな西国街道(山陽道)や生野道、美作道等、歴史街道の節目のエリアを形成しており、近隣には播磨の小京都といわれるたつの(龍野)市や赤穂浪士で著名な赤穂市など白壁の土蔵や武家屋敷など風情のある家並みがつづく城下町の面影を遺す小都市を擁する。
後背部の郡部は、里山や広い田園地帯の広がる農山村地帯。播磨国全域では、人口が150万人の大消費地でもある。
五穀豊穣と無病息災の祈りをささげる祭りなどの農村文化が今なお息づく豊かな地域を形成している。
【写真は正月の伝統行事「とんど(焼き)」】
⇒共通ルール 軒ラインの統一 生垣や植栽